毎年、5月の連休が終わった頃。
クローゼットの冬物をしまい込み、薄手のシャツを取り出す日が、わたしの「防災を見直す日」になりました。
もともとは、なんとなく決めたタイミングです。
衣替えで部屋がひっくり返るなら、ついでに防災リュックの中身も確認してしまおう。
そんな気軽な気持ちから始めたのですが、何年か続けるうちに、この時期は思いのほか防災と相性がよいことに気づきました。
衣替えのついでに、リュックを開ける
防災リュックは、玄関のクローゼットの奥に置いてあります。
毎日視界には入っているけれど、中身を開ける機会はほとんどありません。
一度詰めてしまうと、半年や一年があっという間に過ぎてしまうものです。
衣替えで冬物のセーターをしまうとき、ついでにリュックを引っ張り出して、玄関の床に中身を並べてみる。
そうすると、いろいろなことがわかります。
去年詰めたカイロは、もう冷えた季節には間に合わない。モバイルバッテリーは、いつのまにか充電が抜けている。ウェットティッシュは、開封していなくても少しずつ乾いてきている。
ひとつひとつを手に取りながら、必要なものを足し、季節に合わなくなったものを入れ替える。
この時間が、わたしには「自分の暮らしを点検する時間」のようにも感じられて、年に一度の小さな儀式のようなものになっています。
リュックを開けてみて「何が足りないんだろう」と思ったら、必需品の リストを見直してみるのもいいかもしれません。「防災リュックの中身、 何を入れる?必需品リスト完全版」に、ひととおりまとめています。
食べ物の備えを、夏が来る前に

もうひとつ、春のおわりに見直しておきたいのが、食料の備蓄です。
我が家では、レトルトのご飯やスープ、缶詰、お菓子などをローリングストックしています。
普段の食事に少しずつ取り入れながら、減ったぶんを買い足していく。そんなゆるやかな備え方です。
ただ、夏が近づいてくると、食べ物にとっては少し過酷な季節になります。
キッチンの収納も、想像以上に温度が上がる。パッケージの油分が、じわりと劣化しやすくなる。気づかないうちに、賞味期限が近づいているものも出てくる。
だから春のおわり、まだ涼しさが残っているうちに、棚をすべて開けて中身を確認するようにしています。
期限が近いものは、その週の夕食に組み込む。減ってしまったものは、買い物リストに加える。 あまり食べなかったものは、来年は買わないことにする。
それだけのことなのに、終わったあとの台所はなんだか気持ちまですっきりしているのです。
食べ物の備えは、ローリングストックという方法なら無理なく続けられます。
そのコツは「ローリングストック、無理なく続く5つのコツ」にまとめています。
「決めた日」があると、続けられる
防災のことを大切に思いながら、つい後回しにしてしまう。
そんな自分を、長いあいだ少しもどかしく思っていました。
けれど、年に一度の「見直す日」を決めてからは、その後ろめたさが少しずつ消えていきました。
毎日気にかけなくていい。毎月チェックしなくてもいい。
ただ、年に一度、決めた日にだけ、丁寧に向き合えばいい。
そう思えるようになってから、防災は「身構えるもの」ではなく、「季節とともに巡ってくるもの」に変わっていきました。
衣替えの日に、桜が散り終わった窓の外を眺めながら、リュックの中身を一つずつ並べていく。
そんな静かな時間が、わたしにとっての「そなえる暮らし」の始まりです。
来年も、再来年も、たぶん同じ頃に、わたしはまたリュックを開けているのだと思います。
